6. 相続の効力等に関する見直し
・相続債権者の立場の明確化と権利取得の対抗要件の見直し(効力発生日:2019年7月1日)
相続させる旨の遺言等により承継された財産については、登記等の対抗要件なくして第三者に対抗することができるとされていた現行法の規律を見直し、法定相続分を超える権利の承継については、対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないようになりました。
1993年7月19日最高裁判決では、遺言により法定相続分を超えて不動産の権利取得をした者は、対抗要件(登記)がなくてもその権利を第三者(債権者)に対抗できるとしましたが、1971年1月26日最高裁判決では遺産分割によって法定相続分を超えて不動産の権利取得をした者は、対抗要件(登記)がなければその権利を第三者(債権者)に対抗することができないとしていました。このように遺言と遺産分割では異なる判決となっているのは、遺産分割は、遡及効が認められるものの、第三者(債権者)との関係においては、相続発生時において取得した権利(法定相続分)が、遺産分割時において新たな変更(法定相続分以外の割合)が生じるためです。
改正により、相続開始後は速やかに登記等の手続き(対抗要件)をしなければ、法定相続分を超える部分については、第三者(債権者)に権利を主張することができないということが明確になりました。
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